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乳がん発症の危険性の抑制

乳癌は、普通の女性なら誰もが心配する病気であると思われます。しかし、ここ最近の調査で、乳癌発症の危険性は抑制可能である事が示唆されたのです。

乳癌の告知は女性を震撼させます。多くの女性が乳房は女性であることの象徴だと考えているからでしょう。一方の、または両方の乳房に異変が生じると、女性である存在自体を打ち消されたような気分になるのです。しかし、そういった心配をよそに、乳房に出来たしこりは大抵が良性(癌性ではないもの)の場合が多いのです。そして、乳癌発症の危険性も、生活習慣や食事などに気を付ける事でかなり抑える事が出来るのです。それでも、米国では年間で185,000人の女性達が新たに乳癌と診断され、そしてその年内に約44,000人が乳癌で死亡していると推定されています。統計では、都会に住む女性の発症が数の上で圧倒的に多いのですが、そのはっきりとした理由は解明されていません。乳癌にかかる要因には:過去に乳癌にかかった事がある:親族内で乳癌患者がいた:初潮が早くに始まった:子供がいない、または30歳以上で始めてお産をした:閉経の時期が遅かった:などがあります。統計の示唆するところによれば、乳癌は女性の8人に1人を侵すとしています。

Ducts and Lobes(乳管と乳腺葉(よう))
女性の乳房の解剖学的構造は、我々が思うよりはるかに複雑に出来ています。そして同時に、乳癌の形態も様々です。その症状によっては、他より危険度が高いものもあります。乳房の中は、脂肪と繊維組織が約20区分の乳腺葉と呼ばれるものを形成しています。更に、その乳腺葉は、母乳を生成する乳腺小葉に細区分されています。

乳癌の10%を占める、こういった組織に発症する癌は『非浸潤性』であると言われています。このような癌は、腫瘍発症部位から外に病変が及ばないため、生命に危険を及ぼす身体部位が侵される危険性が極めて低いのです。(しかし、乳房にしこりや癌細胞を発見したときには、どのようなものでも専門医の診断を受けて下さい。大抵の癌は治療可能です。)

乳癌では以下の二つが非浸潤性であると言われています。一つが乳管の上皮内層から発生する『腺管内上皮内癌 ductal carcinoma in situ(または乳管内癌)』、もう一つは葉内から発症する『上皮内小葉癌 lobular carcinoma in situ』です。(in situとはラテン語で、『その部位に』と言う意味です。)

腺管内に発生する癌の方がより深刻なものであるとされています。なぜなら腺管を通り、他の部位に広がる可能性があるからです。葉内に癌が発生すると、両方の乳房に癌が及ぶ危険性が高くなります。更に、上皮内小葉癌は1/5の確率で浸潤性癌に発展する可能性もあります。葉内膜壁から広がる浸潤性小葉癌は、乳癌全体の8%を占め、腺管内膜壁から広がる浸潤性腺管内上皮内癌は、乳癌全体の70%にあたります。これらは浸潤性(または侵襲性)に移行した癌なので非常に危険なものとなります。


Manmography(マンモグラフィー/X線検査)
マンモグラフィーと呼ばれる乳房のX線撮影法で90%の乳癌が発見可能となっています。しかし、この方法によって最も恩恵を被るのは50歳以上の女性と言われています。50~69歳の女性の定期的なマンモグラフィー検査で癌死亡率が30%も削減されています。しかし、40歳代の女性になると、乳癌死亡削減率は17%に低下する事が最近の調査で判明しました。

50歳以下の女性の場合、乳房組織が高濃度であるため、非触知性の癌の診断精度が低下するのです。それでは、40歳代の女性はどの位の間隔で、このマンモグラフィー検査を受ければよいのかと言う疑問が起ります。

米国癌協会では、40歳代女性に年1回のマンモグラフィー検査を勧めていますが、ナショナル癌協会では、1年おき(*2年ごと)の検査を勧めています。検査を受ける場合は、専門医に相談して下さい。肉親に癌にかかった者がいる場合、またはその他の癌発症の危険性の要因を踏まえてマンモグラフィーの検査の頻度が決まります。
            

Diet Against Breast Cancer(乳癌を克服する食事)
癌の発症には日ごろの食事が大きく関係する、という研究結果が発表されています。他の癌にも言える事ですが、果物や野菜をたっぷり摂り、ビタミンDやE、セレニウムといった補助剤を服用する事で、乳癌発症の危険性を低下させるようです。

反対に、多量の肉を摂る事は、乳癌を誘発させてしまう危険性もあるそうです。ニューヨーク、バッファローの州立大学で、閉経前の女性600人を対象に行った調査では、果物や野菜を多く摂った女性は、肉を多く摂った女性に比べ、乳癌発症率を50%も削減させた事が示唆されています。また、ニューヨーク大学の医学センターでは、多量の肉を摂る女性に乳癌の発症率が高い、と発表されています。

The Kind of Fat You Eat(摂取する脂肪の種類に注意)
確かに、肉には脂肪が多く含まれています。こういったある特定の脂肪が乳癌誘発に大きなかかわりをもっているのではないかと考えられています。専門家達による一般論としては、肉には全乳に含まれる飽和脂肪(Saturated fat)やマーガリン・植物油に含まれる高度不飽和脂肪(polyunsaturated fat)が、乳癌発症の危険性を高めるのでは、とされています。ハーバード大学での研究では、脂肪分の多いドレッシングや脂肪の塊であるハンバーガー(脂肪分を取り除いた赤肉ではなく)、皮付きチキン(チキンで最も脂肪分が多い)、などを好んで食べる女性に乳癌発症の危険度が高い事を示唆しています。

脂肪分が癌を誘発しやすいというリサーチ結果の根底に、脂肪が女性ホルモンであるエストロゲンの生成に関係している事が挙げられています。脂肪分の多い食事を摂る女性の血液はエストロゲン値が高い事がその理由です。

しかしながら同時に、テキサス大学MDアンダーソンセンターでは、繊維質豊富な低脂肪食は血液中のエストロゲン値を下げてくれる事も発見しています。こういった食事が乳癌の危険性を下げてくれるのです。研究者達は、全麦やシリアル、豆類(レンズ豆など)、果物、野菜などを種類豊富に摂る事で、一日の繊維質の摂取量を20~35グラム増やしていく事を勧めています。

そして更に、オランダで行われた調査では、発酵性の乳製品(バターミルクやヨーグルトなども含まれる)を摂っていると、癌発症率を77%も削減する事が分かっています。『女性の体内を循環するエストロゲンの種類は人それぞれです。その中から我々は、一つのエストロゲン(悪玉エストロゲン)を見つけました。この種のエストロゲンは、乳房内の細胞に突然変異を及ぼし、それが次第に腫瘍へと成長していく原因となるのです。』ニューヨークシティのストラングコーネル(Strang Cornell)乳癌センターのランセル・シモンズ(Rachel Simmons)医師は言います。

また、60,000人のスエーデン女性を対象に行なった調査ではオリーブやキャノーラ油などの単一不飽和脂肪が乳癌発症のリスクを下げることも示されました。他の調査では、炭水化物を多く摂り、脂肪分を控えた食生活を2年間続けた女性は、癌疑惑のある乳房組織を6%も引き下げた事が発表されています。

高脂肪の肉食に対抗し、癌を抑制するのが、豆乳や豆腐などの大豆食です。大豆製品には、daidzeinやgenisteinと呼ばれる植物成分が含まれており、これが体内のエストロゲン値を下げる効果がある事から、乳癌を予防すると言われています。

ここにそれを証明する研究結果があります。:閉経前の女性達が30オンス(1,020g )の豆乳を飲んだ所、卵巣のホルモン値が下がり、癌発症の危険性も下がりました。この結果を見ても、大豆食を多く摂る日本人女性に乳癌が少ない事の理由が説明されます。ホルモン値を制御する他の食品には:ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツなどがあります。こういったアブラナ科の植物には、インドール3カルビノールと呼ばれる、自然合成成分が含まれ、これが、大豆のgenistein成分と同じような働きで、体内のエストロゲン値を下げるのです。


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